著者は、昭和6年、四万十川で有名な高知県生まれ。
本のカバー、表紙、本文の組版を全て娘さんが担当、親子で制作した句集ですが、一般的な句集の本にありがちな表紙布張り、文字箔押しの手法を採らず、グラフィックデザイナーである娘さんのデザイン力でもって、句集とは思えないスタイリッシュな本になりました。
200部制作で費用はおよそ55万円。印刷直前の校正刷りの段階で、本文の色指定に不具合が見つかり、最後まで気の抜けない工程でした。
お客様は鎌倉の方ですが、何度も打合せでご来社いただきました。特に働いている娘さんには、短い昼休みを利用して職場の駅の近くで待ち合わせて校正刷りを見てもらったりしました。
出来上がりは非常に評判がよく、著者の井上魚州さんは、大いに満足のご様子で、弊社に新しいお客様をご紹介してくださるそうなので大いに期待しているところです。
以下は裏表紙に表記の作品
自選十二句
うららかや流れ藻につく稚魚の群
おもひだし笑出窓のシクラメン
船上の皆押し黙る西日かな
おほるりや栃木大木の寸胴切
茶畑の谷へ傾く初音かな
颯と晴れ夏鶯が至近距離
頤に海の照受く実朝忌
箸立に父の箸あり年の暮
水脈強く放つスクリュー夏隣
波暮れて蜑の小家の灯涼し
今朝の秋大き魚群へ船を遣る
フィッシュポンプどつどつと鰯吐きにけり